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manページ  — EE

名称

ee – 簡単エディタ

内容

書式


ee [-eih] [+#] [file ...]
ree [-eih] [+#] [file ...]

解説

ee ユーティリティはシンプルなスクリーンエディタで、 端末の下部にプロンプトがあるか、 (端末中央の箱の中に) メニューがあるとき以外は、 常にテキスト挿入モードになっています。 ree ユーティリティは ee と同じものですが、指定されたファイルの編集しかできない (ファイル操作やシェル を使うことができない) ように機能が制限されています。

ee を正常に動作させるためには、使用する端末のタイプに合わせて、環境変数 TERM を正しく設定しなければなりません。例えば、 HP 700/92 端末の場合は、 TERM 変数を "70092" に設定する必要があります。 更に詳しい情報が必要な場合は、システム管理者にお尋ねください。

下記のオプションが使用可能です:
-e
  タブからスペースへの展開を禁止します。
-i
  端末上部に情報ウィンドウを表示しません。
-h
  ウィンドウとメニューの縁の強調表示を止めます (一部の端末で 表示速度が向上します)。
+# スタート時のカーソルを行番号 '#' で指定される行に置きます。

コントロールキー

テキストの挿入以外の操作では、コントロールキー ( Control キーは "^" で表示され、例えば ^a のように、 アルファベットキーと組み合わせて使われます) や、 キーボード上にあるファンクションキー ( Next Page, Prev Page, 矢印キー等) を使わなければなりません。

すべての端末がファンクションキーを持っているわけではありませんから、 ee ではコントロールキーに割り当てられた基本的なカーソル移動は、 キーボードに装備された、より直感的なキーでも扱えるようにしてあります。例えば、 カーソルの上方移動は、上向き矢印キーと ^u のいずれでも可能です。
^a 挿入文字を ASCII の 10 進数で指定。
^b テキストの終わりに移動。
^c コマンド入力。
^d カーソルを下に移動。
^e 検索文字列を入力。
^f 最後に削除した文字の復元。
^g 行の先頭に移動。
^h バックスペース。
^i タブ。
^j 改行を挿入。
^k カーソル上の文字を消去。
^l カーソルを左に移動。
^m 改行を挿入
^n 次ページに移動。
^o 行末に移動。
^p 前ページに移動。
^r カーソルを右に移動。
^t テキスト先頭に移動。
^u カーソルを上に移動。
^v 最後に削除した単語を復元。
^w カーソル位置以降の単語を削除。
^x 文字列検索。
^y カーソル位置から行末まで削除。
^z 最後に削除した行の復元。
^[ (ESC)
  メニュー表示。

EMACS キーモード

多くのシェルは (カーソル移動その他の編集操作で) Emacs モードを 用意していますから、それらのキー割当に慣れた利用者のために、 いくつかのキー割当が別途用意されています。これは 設定 メニューないしは初期化ファイル (下記を参照) から利用することができ、 その内容は次のとおりです:
^a 行の先頭に移動。
^b 1 文字後退。
^c コマンド入力。
^d カーソル位置の文字を消去。
^e 行末に移動。
^f 1 文字前進。
^g 1 ページ戻る。
^h バックスペース。
^i タブ。
^j 最後に削除した文字の復元。
^k 行の削除。
^l 最後に削除した行の復元。
^m 改行の挿入。
^n 次行に移動。
^o 挿入文字を ASCII の 10 進数で指定。
^p 前行に戻る。
^r 最後に削除した後の復元。
^t テキストの先頭に移動。
^u テキストの最後に移動。
^v 次ページに移動。
^w カーソル以降の単語を削除。
^y 検索文字列の入力。
^z 次の単語。
^[ (ESC)
  メニュー表示。

ファンクションキー

Next Page
  次ページに移動。
Prev Page
  前ページに移動。
Delete Char
  カーソル位置の文字を消去。
Delete Line
  カーソル位置から行末まで消去。
Insert line
  カーソル位置に改行を挿入。
Arrow keys
  表示された方向にカーソルを移動。

コマンド

ある種の操作では単一のキー操作で得られる以上の情報を必要とします。 基本的な操作のほとんどには、 ESC キーで表示されるメニューが用意されていますが、 それらに加え、いくつかの操作は、コマンド入力 (^c) に続いて 下記のうち一つをタイプすることで実行できます。
!cmd シェルを使って cmd を実行。
0-9 指定された行番号に移動。
case 文字列検察で大文字と小文字を区別。
character
  カーソル位置の文字の ASCII 値を表示。
exit 編集したテキストを保存して終了。
expand
  タブをスペースに展開。
file ファイル名を表示。
help ヘルプ画面を表示。
line 現在行の行番号を表示。
nocase
  文字列検索で大文字と小文字を区別しない (デフォルト)。
noexpand
  TAB キーが押されたとき、タブをスペースに展開しない。
quit テキストに加えられた変更を保存せずに終了。
read file
  指定されたファイル file を読み込む。
write file
  指定されたファイル file にテキストを書き込む。

メニュー操作

escape キー (存在しない場合は ^[ ) を押すとメニューがでてきます。 メニューの中で escape キーを押すと、何もしないでメニューから抜け出すことが できます。上向き矢印と下向き矢印ないしは、上なら ^u 下なら ^d で希望する項目に移動して、 return キーを押せば、その処理が実行されます。

メニュー項目の左側の文字のキーを押すと、そのメニューエントリを 選択することになります。

ee のメインメニューは次のとおりです:
leave editor
  終了。 変更されている場合は、変更後のテキストを保存するかどうかの問い合わせ メニューが出ます。
help ヘルプ。 すべてのキー操作とコマンドを含むヘルプ画面を表示。
file operations
  ファイル操作。 ファイルの読み込み、書き込み、保存に加え、 編集内容の印刷コマンドへの送信メニュー ( ファイルによる ee の初期化 を参照)。
redraw screen
  画面再描画。 画面が乱れたとき画面を再描画するための手段。
settings
  設定。 現在の操作モードと右マージンを表示。特定の項目上で return キーを押すと、 その値を変更できます。 このメニューから抜ける場合は escape キーを押します。(下記の モード を参照。)
search
  検索。 新しい検索文字列ないしは既に設定した検索文字列で検索するためのメニュー。
miscellaneous
  その他。 現在の段落の整形、シェルコマンドの実行、編集中のテキストのスペルチェック を行うためのメニュー。

段落整形

ee の段落 (paragraph) は、下記のいずれかで囲まれた部分を意味します:

段落整形を行う方法としては、メニューの 段落整形(format paragraph) を選択して明示的に行う方法と、段落の自動整形を行うように ee を設定する方法の二つがあります。 自動モードはメニューからでも、初期化ファイルからでも設定可能です。

ee のテキスト操作には、自由形式 (free-form)、マージン (margins)、 自動整形 (automatic formatting) の 3 つの状態があります:

「自由形式」はプログラミングのような仕事に最適で、行の長さの制限がなく、 整形も行われません。

「マージン」を使うと、右マージン (これは 設定 (settings) メニューで指定しますが、 デフォルトは端末の右縁になっています) を越えていないかどうかを気にせずに テキストをタイプすることができます。 このモードでは 段落整形 (format paragraph) メニュー項目が動作します。

「自動整形」はワードプロセッサのようなふるまいをします。 ユーザがテキストを入力する一方で、 空白文字が入力されるかテキストを削除するたびに、 ee は段落全体が端末の幅を越えないように調整します。 自動整形を使う場合は、マージンも有効にしておかなければなりません。

モード

ee そのものは「モードなし」(modeless) エディタ (常にテキスト挿入モードに なっています) ですが、その動作の中には次のようなモードをもつものもあります:
タブ拡張 タブ文字として挿入するか、空白文字に置換するかを決めます。
大文字と小文字の区別
  文字列検索では、大文字と小文字を区別することもできますし、 同一視させることもできます。
マージン監視
  行の長さを右マージンまでに制限することもできますし、 無限に長くすることもできます。
段落の自動整形
  テキストの入力中、うまく画面の幅に収まるように、 エディタに調整させることができます。
8 ビット文字
  8 ビット文字をそのまま表示させるか、 その値を山括弧で囲んで表示 ("<220>" 等) させるかの切り替えです。
情報ウィンドウ
  実行可能なキー操作を表示するウィンドウを出すか出さないかを選択します。
emacs キー割り当て
  コントロールキーの割り当てを emacs 方式にするかどうかを決めます。
16 ビット文字
  16 ビット文字を 1 個の 16 ビット量として扱うのか、2 個の 8 ビット量として 扱うのかを切り替えます。 主として、Chinese Big 5 コードセットで動作します。

これらのモードは初期化ファイル (下記を参照) とメニュー (上記を参照) の いずれでも設定可能です。

スペルチェック

ee でテキストに含まれる単語のスペルをチェックする方法には、 伝統的な spell(1) コマンドを使う方法と、オプションの ispell コマンドを使う方法の二つがあります。

spell を使う場合は、認識できない単語はファイルの先頭に置かれます。 ispell の場合は、ファイルをいったんディスクに書き出し、 ispell にそのファイルを処理させてから、 ispell が書き換えたファイルを再度読み込みます。

編集内容の印刷

メニューの中に編集内容を印刷する項目があります。 ee ユーティリティは初期化コマンドの printcommand (下記の ファイルによる ee の初期化 を参照) で指定されたコマンドに編集中のテキストをパイプで転送します。 デフォルトでは lp(1) コマンドに転送します。

printcommand で指定されたコマンドは、標準入力からテキストを読み込むものでなければ なりません。詳細はシステム管理者に聞いてください。

シェルの操作

その他 (miscellaneous) のメニューで シェルコマンド (shell command) を選ぶか、 command: プロンプトで感嘆符 ("!") に続けて実行したいコマンドを書くことで、 ee の中からシェルにコマンドを実行させることができます。さらに、"!' の前に 「大なり記号」(">") を書くことで、編集バッファの内容をシェルコマンドに リダイレクトすることができます。 同様に、感嘆符の前に「小なり記号」("<") を書くと、 シェルコマンドの実行結果を編集バッファに取り込みます。 これらを同時に指定することで、シェルコマンドに出力した後、コマンドの 実行結果を読み直すことも可能です。 従って、エディタで編集中の単語のリストをソートしたい場合は、 コマンド入力で次のようにタイプすることができます:

    ><!sort

これでエディタの内容を sort(1) ユーティリティにパイプ出力し、その結果を編集バッファの現在の カーソル位置に取り込むことができます。 必要なら、自分で古い情報を消去してください。

ファイルによる ee の初期化

ユーザの好みはまちまちですから、 ee も簡単なカスタマイズ機能を備えています。 ee の初期化ファイルの置き場所は、 /usr/share/misc/init.ee 、ユーザのホームディレクトリ中の .init.ee 、カレントディレクトリ (ホームディレクトリと一致しない場合) 中の .init.ee の 3 つです。 これを使うと、システム管理者がシステム全体の 標準 (例えば、 印刷 コマンド) を設定したり、 ユーザがディレクトリ毎に設定を変える (一つはメールの読み書き用、 もう一つはプログラミング用など) ことができます。

最初に読み込まれるファイルは /usr/share/misc/init.ee で、次に $HOME/.init.ee 、最後に .init.ee を読みます。 後から読み込んだファイルの指定が優先されます。

初期化ファイルには、次の項目を記入することができます:
case 文字列検索で大文字と小文字を区別します。
nocase
  文字列検索で大文字と小文字を区別しません (デフォルト)。
expand
  ee にタブを空白文字に展開させます (デフォルト)。
noexpand
  ee にタブを単一の文字として挿入させます。
info 小さな情報ウィンドウを端末の上部に表示します (デフォルト)。
noinfo
  情報ウィンドウを表示しません。
margins
  テキスト入力中にユーザが設定した右マージンを越えないように、 ee に行を折り返させます (デフォルト)。
nomargins
  右マージンを越える行を許します。
autoformat
  ee に、テキストの挿入時に、現在の段落を自動整形させます。
noautoformat
  段落の自動整形をしないようにします (デフォルト)。
printcommand
  印刷コマンドを設定します (デフォルト値は "lp")。
rightmargin
  右マージンの値を選択します (画面の最初の桁を 0 とします)。
highlight
  情報ウィンドウとメニューウィンドウの縁を強調表示します (デフォルト)。
nohighlight
  情報ウィンドウとメニューウィンドウの縁の強調表示をやめます。
eightbit
  8 ビット文字を表示します。
noeightbit
  8 ビット文字の表示をやめます (例えば、"<220>" のように山括弧で囲まれた数値 で表示します)。
16bit 16 ビット文字を扱います。
no16bit
  16 ビット文字を扱いません。
emacs emacs のキー割り当てにします。
noemacs
  emacs のキー割り当てをやめます。

エディタの設定の保存

settings メニューからこのエントリを使用すると、 ユーザは現在のエディタの設定 (前記 ファイルによる ee の初期化 参照) を現在のディレクトリもしくはユーザのホームディレクトリのファイル .init.ee に保存できます。 既に存在するファイル .init.ee .init.ee.old にリネームされます。

警告

(原文) THIS MATERIAL IS PROVIDED "AS IS". THERE ARE NO WARRANTIES OF ANY KIND WITH REGARD TO THIS MATERIAL, INCLUDING, BUT NOT LIMITED TO, THE IMPLIED WARRANTIES OF MERCHANTABILITY AND FITNESS FOR A PARTICULAR PURPOSE. Neither Hewlett-Packard nor Hugh Mahon shall be liable for errors contained herein, nor for incidental or consequential damages in connection with the furnishing, performance or use of this material. Neither Hewlett-Packard nor Hugh Mahon assumes any responsibility for the use or reliability of this software or documentation. This software and documentation is totally UNSUPPORTED. There is no support contract available. Hewlett-Packard has done NO Quality Assurance on ANY of the program or documentation. You may find the quality of the materials inferior to supported materials.

Always make a copy of files that cannot be easily reproduced before editing. Save files early, and save often.

(上記段落の日本語訳 −参考−)
このプログラムはこのままの状態 (AS IS) で供給されるもので、実用性や特定用途 に対する適合性を含む、いかなる保証もありません。 Hewlett-Packard と Hugh Mahon のいずれも、このプログラムの間違い、 あるいは、設置や使用に付随ないしは結果として生ずるいかなる問題についても 責任を負いません。 Hewlett-Packard と Hugh Mahon のいずれも、このプログラムとドキュメントの 信頼性に対する責任を負いません。 このプログラムとドキュメントに対するサポートはありませんし、 サポートの窓口もありません。 Hewlett-Packard はプログラムとドキュメントの品質検査を行っていません。 サポートのある製品にくらべて品質が劣る可能性もあります。

編集前の状態に戻すのが困難なファイルについては、常にコピーを残してください。 早めにファイルに保存し、小刻みに保存操作を行ってください。

国際コードセットのサポート

ee ユーティリティは 8 ビット文字コード (8 ビットクリーン) または Chinese Big-5 コードセットをサポートしています (他のマルチバイトコードセットも動作するかもしれませんが、 Big-5 が動作する理由は、2 バイト文字は画面上で 2 桁を占めるためです)。

警告

低速システムでは、段落自動整形は極端に遅くなります。

関連ファイル

/usr/share/misc/init.ee
$HOME/.init.ee
.init.ee
 

作者

ソフトウェア ee Hugh Mahon が開発しました。

This software and documentation contains proprietary information which is protected by copyright. All rights are reserved.

(上記段落の日本語訳 −参考−)
このプログラムとドキュメントは著作権法により保護されており、 すべての権利は著作者が有します。

Copyright (c) 1990, 1991, 1992, 1993, 1995, 1996 Hugh Mahon.

関連項目

ispell(1), lpr(1), spell(1), termcap(5), terminfo(5), environ(7)

日本語マニュアル

平林浩一 (kh@mogami-wire.co.jp) による ee 日本語化キットに含まれている 日本語化 ee の日本語マニュアルをベースに、 酒井淳嗣 (sakai@jp.freebsd.org) が一部修正。

EE (1) August 30, 1995

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